歯科コラム高齢者歯科
口腔機能低下症とは?第3回~唾液量低下が引き起こすお口のトラブル~
「最近、口が乾きやすい」
「夜中に口が渇いて目が覚める」
「食事の時に飲み物がないと食べにくい」
「以前より口臭が気になるようになった」
このようなお悩みはありませんか?
年齢を重ねると、「口が乾くのは仕方ない」と考える方も少なくありません。しかし、お口の乾燥は単なる加齢現象ではなく、口腔機能低下症のサインである可能性があります。
実は唾液には、虫歯や歯周病を予防するだけでなく、食事や会話をスムーズに行うための重要な役割があります。
唾液量が減少すると、お口の中だけでなく全身の健康にも影響を及ぼすことがあります。
今回は口腔機能低下症シリーズ第3回として、「唾液量低下」と「お口の乾燥」について詳しく解説します。
〇唾液はなぜ重要なの?
唾液は単なる「水分」ではありません。
健康な成人では1日に約1~1.5リットルの唾液が分泌されているといわれています。
私たちは普段あまり意識していませんが、この唾液によってお口の健康は守られています。
〇唾液の主な役割
① お口の中を洗い流す
唾液には洗浄作用があります。食事をすると、
- 食べかす
- 細菌
- 糖分
などがお口の中に残ります。唾液はこれらを洗い流し、虫歯や歯周病を予防しています。
② 虫歯を防ぐ
食事のたびにお口の中は酸性になります。
酸性状態が続くと歯が溶けやすくなります。
唾液にはお口の中を中性に戻す働きがあり、歯を守っています。
③ 歯を修復する
唾液にはカルシウムやリンが含まれています。
これらは初期虫歯の修復(再石灰化)を助けています。
④ 飲み込みを助ける
食べ物をまとめて飲み込みやすくする役割があります。
唾液が少ないと食事がしづらくなります。
⑤ 発音を助ける
唇や舌の動きを滑らかにし、会話をしやすくしています。
⑥ 口臭を防ぐ
唾液には細菌の増殖を抑える作用があります。
唾液量が減ると口臭が強くなることがあります。
〇ドライマウス(口腔乾燥症)とは?
唾液量が減少し、お口の中が乾燥している状態をドライマウス(口腔乾燥症)といいます。
近年では高齢者だけでなく、働き世代にも増えているといわれています。
こんな症状はありませんか?
以下の症状がある方は注意が必要です。
□ 口がネバネバする
□ 水がないと食事しづらい
□ 口臭が気になる
□ 話していると口が乾く
□ 舌がヒリヒリする
□ 夜中に口が渇いて起きる
□ 虫歯が増えた
□ 入れ歯が擦れて痛い
□ 食べ物が飲み込みにくい
複数当てはまる場合は唾液量低下の可能性があります。

〇なぜ唾液量が減るの?
加齢
年齢とともに唾液腺の働きが低下します。
特に50歳以降では少しずつ変化が現れる方が増えます。
薬の副作用
非常に多い原因の一つです。例えば、
- 血圧の薬
- 抗アレルギー薬
- 抗うつ薬
- 睡眠薬
などは唾液量を減少させることがあります。
ストレス
緊張すると口が乾く経験はありませんか?
ストレスは唾液分泌を低下させることがあります。
口呼吸
鼻ではなく口で呼吸する習慣があると、お口が乾燥しやすくなります。
糖尿病などの全身疾患
全身状態が影響して唾液量が減る場合もあります。
〇唾液量低下が引き起こすトラブル
虫歯が増える
唾液の洗浄作用が低下すると細菌が増殖しやすくなります。特に、
- 歯の根元
- 被せ物の周囲
の虫歯が増える傾向があります。
歯周病が悪化する
細菌量が増加するため歯周病リスクも高くなります。
口臭が強くなる
唾液量が減ると細菌が増え、口臭の原因となります。
飲み込みにくくなる
唾液が不足すると食べ物がまとまりにくくなります。
むせや誤嚥の原因になることがあります。
会話しづらくなる
舌や唇の動きが悪くなり、発音しづらくなることがあります。
〇口腔機能低下症との関係
口腔機能低下症では、唾液量の低下が重要な診断項目の一つになっています。唾液が減ると、
- 噛みにくい
- 飲み込みにくい
- 話しにくい
といった症状につながり、お口の機能全体が低下していきます。
〇当院(東山デンタルクリニック)で行う唾液量検査
当院では、唾液量検査(口腔乾燥検査)を実施しています。
この検査では、現在のお口の潤い状態を客観的に評価できます。
患者さまの中には、「自分では普通だと思っていた」「数値で見て初めて乾燥していることが分かった」
という方も少なくありません。
〇唾液量を増やすためにできること
水分補給
最も基本的な対策です。
こまめな水分補給を心がけましょう。
よく噛んで食べる
噛むことで唾液腺が刺激されます。
唾液腺マッサージ
耳下腺・顎下腺・舌下腺を刺激することで唾液分泌を促せます。
口呼吸の改善
鼻呼吸を意識することも大切です。
定期的な口腔機能管理
お口の状態を定期的にチェックすることが重要です。
50歳を過ぎたら一度チェックを
血圧や血糖値を測るように、これからは「唾液量」を確認する時代です。
特に50歳以降は、自覚症状がなくても唾液量が低下している場合があります。
早期発見が将来のお口の健康を守ります。
〇当院(東山デンタルクリニック)での取り組み
当院では、口腔機能低下症の評価として、唾液量検査(口腔乾燥検査)を行っています。また、
- 虫歯予防
- 歯周病管理
- 口臭対策
- 入れ歯の調整
- 口腔機能管理
を通じて、お口の健康寿命を支える診療を行っています。
〇まとめ
唾液はお口の健康を守る非常に重要な存在です。唾液量が減少すると、
- 虫歯
- 歯周病
- 口臭
- 飲み込みにくさ
- 会話のしづらさ
など、さまざまな問題が起こります。
「口が乾くのは年齢のせい」と思わず、一度検査を受けてみることをおすすめします。
当院(東山デンタルクリニック)では唾液量検査を実施し、口腔機能低下症の早期発見・早期対応に取り組んでいます。
次回の第4回では、「食事中によくむせる方へ|飲み込む力の低下と口腔機能低下症」について詳しく解説します。
飲み込みの力と誤嚥性肺炎の関係についてもわかりやすくご紹介します。
