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口腔機能低下症とは?第4回~食事中によくむせる方へ|飲み込む力の低下と口腔機能低下症~
「最近、お茶やお味噌汁でむせることが増えた」
「食事の途中で咳き込むことがある」
「以前より飲み込むのに時間がかかる」
「年齢のせいだと思っている」
このような症状はありませんか?
多くの方は、むせることを「年齢による変化」と考えています。しかし、頻繁にむせるようになった場合は、飲み込む力(嚥下機能)の低下が始まっている可能性があります。
飲み込む力の低下は、単に食べにくくなるだけではありません。放置すると、
- 栄養不足
- 脱水
- 誤嚥性肺炎
- フレイル(虚弱)
- 要介護状態
につながることもあります。
今回は口腔機能低下症シリーズ第4回として、「飲み込む力」と「むせ」の関係について、詳しく解説します。
〇飲み込む力(嚥下機能)とは?
私たちは普段、何気なく食事をしていますが、「飲み込む」という動作は非常に複雑です。食べ物は、
- 噛む
- 唾液と混ぜる
- 舌でまとめる
- のどへ送る
- 食道へ流す
という流れを経て胃へ運ばれます。この一連の動きを「嚥下(えんげ)」と呼びます。
健康な状態では無意識に行えますが、加齢や病気によって機能が低下すると、飲み込みにくさやむせが起こるようになります。

〇むせるとはどういうこと?
むせるとは、本来食道へ入るはずの飲食物が誤って気管の方向へ入ろうとした際に起こる防御反応です。気管に異物が入るのを防ぐために咳が出ます。つまり、むせること自体は身体を守る正常な反応
です。しかし、
- むせる回数が増えた
- 飲み込みにくい
- 食事に時間がかかる
場合は注意が必要です。
〇こんな症状はありませんか?
以下の項目に当てはまる方は、飲み込む力が低下している可能性があります。
□ お茶や水でむせる
□ 食事中によく咳き込む
□ 飲み込むのに時間がかかる
□ 食後に声がガラガラになる
□ 食べこぼしが増えた
□ のどに食べ物が残る感じがする
□ 食事時間が長くなった
□ 体重が減ってきた
□ 硬いものを避けるようになった
□ 肺炎になったことがある
複数当てはまる場合は一度検査を受けることをおすすめします。
〇なぜ飲み込む力は低下するの?
加齢による筋力低下
最も多い原因です。足腰の筋力が衰えるように、
- 舌
- 頬
- のど
の筋肉も衰えていきます。その結果、飲み込む力が弱くなります。
唾液量の減少
第3回でご紹介したように、唾液は飲み込みを助ける重要な役割があります。
唾液が少ないと食べ物がまとまりにくくなり、誤嚥しやすくなります。
歯の喪失
歯を失うと十分に噛めなくなり、大きなまま飲み込もうとしてしまいます。
これも誤嚥の原因になります。
合わない入れ歯
入れ歯が合わないと食べ物を十分に噛めなくなります。
全身疾患
脳梗塞やパーキンソン病などが原因となることもあります。
〇誤嚥とは?
誤嚥とは、飲食物や唾液が食道ではなく気管へ入ることです。
健康な方でも時々起こることがありますが、
飲み込む力が低下すると頻度が増加します。
〇誤嚥性肺炎とは?
誤嚥によって細菌を含んだ唾液や食べ物が肺に入ることで起こる肺炎です。
高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎といわれています。
特に注意が必要なのは、「むせない誤嚥」です。
〇不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)
本来であれば誤嚥すると咳が出ます。しかし高齢になると咳反射も弱くなり、
誤嚥してもむせなくなることがあります。これを不顕性誤嚥といいます。
本人も周囲も気付きにくいため注意が必要です。
〇飲み込む力の低下が全身に与える影響
栄養不足
食べにくさから食事量が減少します。
体重減少
栄養不足によって筋肉量も低下します。
フレイル
身体機能全体の低下につながります。
要介護リスク増加
生活機能の低下につながる可能性があります。
〇飲み込み機能を守るために大切なこと
よく噛んで食べる
しっかり噛むことで舌や頬の筋肉が鍛えられます。
会話をする
会話はお口周囲の筋肉を使う良いトレーニングです。
水分をしっかり摂る
お口の乾燥予防になります。
歯を残す
噛む機能の維持には歯の健康が重要です。
入れ歯を放置しない
合わない入れ歯は調整が必要です。
お口の体操も有効
口腔機能低下症の予防には、お口の体操も効果的です。例えば、
パタカラ体操
「パ」「タ」「カ」「ラ」
を大きく発音する運動です。これは、
- 唇
- 舌
- 頬
- のど
の筋肉を鍛えることにつながります。
〇当院東山デンタルクリニックの口腔機能低下症への取り組み
当院では、口腔機能低下症の早期発見・早期対応に力を入れています。
特に、咬合圧検査で噛む力を数値で評価します。
唾液量検査
口腔乾燥の程度を評価します。
口腔機能の評価
食べる・話す・飲み込む機能を総合的に確認します。必要に応じて、
- 入れ歯調整
- 歯周病治療
- 口腔機能トレーニング
をご提案しています。
〇50歳を過ぎたら口腔機能のチェックを
虫歯や歯周病の検査を受ける方は多いですが、「噛む力」「飲み込む力」「唾液量」
を確認したことがある方は少ないかもしれません。
しかし、これらは健康寿命を左右する大切な機能です。
症状が出てからではなく、症状が軽いうちに確認することが重要です。
〇まとめ
飲み込む力の低下は、
- むせ
- 食べにくさ
- 誤嚥性肺炎
- 栄養不足
などにつながる重要な問題です。特に50歳を過ぎると少しずつ変化が現れることがあります。
口腔機能低下症は早期発見・早期対応が重要です。
当院では、咬合圧検査(噛む力の検査)、唾液量検査(口腔乾燥検査)を実施し、お口の機能を総合的に評価しています。
「最近むせることが増えた」「食べにくくなった」「将来も自分の口で食事を楽しみたい」という方は、お気軽にご相談ください。
お口の機能を守ることは、健康寿命を守ることにつながります。定期的なチェックで、いつまでもおいしく食べて、楽しく会話できる毎日を目指しましょう。
